有機栽培 玄米
有機栽培の玄米は、農林水産省登録認定機関に有機栽培であると認定を受けた玄米のことです。
有機栽培農家は、「最初の収穫の2年以上の間、化学肥料を使わず、たい肥などで土作りを行って栽培」し、「遺伝子組み換え技術を使用せず」、「生産から出荷までの生産工程管理、有機JASマーク貼付などの記録を作成する」ことが義務付けられており、違反すると懲役や罰金などの厳しい罰則を科せられます。
農薬や化学肥料を使わずに栽培された農作物を有機農作物といい、50%以下に農薬や化学肥料の使用を減らして栽培された農作物を特別栽培農作物といいます。
農薬を使わずにおいしいお米を作るためには、ミミズやドジョウ、カエル、クモ、合鴨などの生き物の力を借りる必要があり、それらの生き物が生きていけるような田んぼにするための努力や時間がいるのです。
有機栽培の玄米は普通のお米よりも生産量が低く、手間もずっとかかります。
そのため、やや割高になっていますが、その分、安心で体にもよく、おいしいお米です。
有機栽培農家が苦労して作ったお米が他のお米と混ざってしまわないように、有機栽培の玄米を販売する事業者にも、登録認定機関による認定が義務付けられています。
玄米をそのまま食べたいと考えているのなら、胚芽や糠の部分に農薬や除草剤などが残っている可能性がある普通の栽培米ではなく、有機栽培の玄米を食べましょう。
有機栽培と無農薬
有機栽培と無農薬の違いについて考えてみたいと思います。
有機栽培は、「一定の農場のほ場で2年間以上(多年生の植物から収穫される農作物の場合は3年以上)、無農薬(化学合成農薬無使用)、無化学肥料(有機質肥料)で栽培した農産物です。
これに対して、無農薬栽培とは、農薬を一切使わないで栽培する方法ですが、肥料に関する言及はないので、肥料は何を使ってもかまわないことになります。
有機栽培のように認証制度があるわけではありません。
無農薬の表示については農林水産省のガイドラインで表示禁止事項として定められているものの、罰則がないため、使ってはいけないはずの「無農薬」の表示が未だに使われているのです。
「無農薬」、「無化学肥料」の表示は、消費者が全く残留農薬などを含んでいないという誤解をしてしまうため(優良誤認)、「減農薬」、「減化学肥料」の表示は削減の割合が消費者にわかりにくいため、それぞれ表示禁止事項になっています。
ちなみに、その生産物が生産された地域の慣行レベルに比べて、節減対象農薬(従来の化学合成農薬から有機農作物のJAS規格で使用可能な農薬を除外したもの)と化学肥料の窒素成分量を共に50%以下に抑えて栽培された農作物を特別栽培農作物と呼びますし、節減対象農薬を使用しなければ、「節減対象農薬:栽培期間中不使用」という表示になるので、単に「無農薬」や「減農薬」などと表示している農作物はあまり信用できないと思います。
有機栽培とは
有機栽培とは、日本農林規格(JAS規格)の定めた規定によると、「化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、多年生作物(お茶など)の場合、最初の収穫の3年以上の間、堆肥などによる土づくりを行ったほ場において生産された農産物」のことです。
有機栽培は、化学合成した農薬や肥料、除草剤を使用しないで農作物を生産する栽培方法ですが、農薬の使用が全面的に禁止されているわけではなく、条件によっては一部使用することも認められています(やむを得ず農薬を使用した場合は、使用した農薬名などを毎年提出する必要があります)。
以前は、少しでも有機質肥料を使用して栽培すれば、その農作物は有機栽培と表示し、高い価格で売られていました。
しかし、消費者の混乱を招いてしまうことから、農林水産省は法的強制力を持つ有機農産物及び有機農産物加工食品のJAS規格を定め、登録認定機関の検査に合格し、有機JASマークがついたものでなければ、「有機」や「オーガニック」と表示することができない有機JAS法を導入したのです。
これにより、有機表示ができる農作物を生産・販売するためには、農水省が認定した有機認証機関に有機農作物であると証明するための認証登録の申請書を提出し、認証を受けなくてはならなくなりました。
申請書の提出はとても煩雑な上、一度、「有機生産ほ場として適格であり有機栽培農家である」という有機認定書が交付されても、記録の記帳が義務付けられており、毎年、有機認証機関が現地監査と記帳監査を行うくらい厳しいものです。